ショパン愛好家としては、ショパンの容姿がどんなだったか、大いに気になるところですが、幸いにいろいろな人が描いた肖像画が残っていますし、晩年に撮った唯一の写真まであります。
今日はその中から、19 歳の若きショパンを描いた肖像画を紹介します。
1829年にアンブロジ・ミェロシェフスキが描いた原画にもとづいて、1968年にアンナ・ハミェツが模写したミニチュアです。
なかなかイケメンの聡明な青年の姿に描かれていますね。我々の想像するショパンのイメージにぴったりです。
でも肖像画は写真ではありませんから、真実がありのまま描かれているとは限りません。画家の主観が入ったり、モデルの要求とかで、実際よりも良く描かれることも多いです。
そんな時は、ショパンと同時代に生きていた人たちの証言も参考になります。
幸いに、ショパンの容姿について、当時近所に住んでいた人物が書いた文章も残っています。
ショパンが高等学校に通学していた頃、ショパン家と同じ建物に住んでいた、ワルシャワ大学の教授がいました。その息子のスクロツキ・エウゲニウシュは、当時まだ10歳に満たない小学生でしたが、当時のショパンについてのエピソードを、ショパンの死後30年以上たった頃に女性週刊誌に投稿しています。
1882年発行のポーランドの女性週刊誌『ブルシュチュ』に、『わが青春のショパン、回想のいくつか』というタイトル、ヴィエリスワフというペンネームで、ワルシャワ高等学校時代のショパンについての容姿や裏話などを書いているのです。
エウゲニウシュによると、当時のショパンの容姿について、次のように表現しています。
「美しい秀でた額」
「ビール色をした表情豊かな優しい目」
「ハシバミ色の瞳」
「髪はふさふさして濃く、父と同じように強い縮れ毛で、わずかに赤茶けた色合い」
「大きな鼻が容貌に際立った特徴を与えていたが、全体としてみるとその目鼻立ちは美しいと呼ぶわけにはいかなかった。それにもかかわらずショパンの顔はこのうえなく魅力的な印象を与えた」
この文章はまるで上の肖像画を見て書いたかのようにイメージがぴったりですね!
これでミェロシェフスキの描いたショパン像の裏付けになりました。