クラシンスキ宮殿とワルシャワ国民劇場(右)
F・ディートリヒ作。彩色銅板画。1832年。
ワルシャワ博物館所蔵
ワルシャワ国民劇場は、1779年にワルシャワのクラシンスキ広場に建設され、1833年までさまざまな音楽の拠点となりました。1790年には改築して1200人の観衆を収容できたといわれています。
最初のポーランド・オペラの初演が行われたのも、ショパンがデビューコンサートを開いたのもこの劇場でした。
第二次世界大戦後、ワルシャワの多くの建物が復元されましたが、この旧「国民劇場」は復興されなかったもののひとつです。
この劇場はクラシンスキ広場に、現在美術大学となっているものとは別の、もうひとつのクラシンスキ宮殿と向かい合って建っていました。この銅版画によると、クラシンスキ宮殿よりやや小さい位だったと思われます。現在この劇場跡には最高裁判所が建っています。
【ショパンとの関連】
*1830年3月17日、ショパンはこの劇場で正式にデビューしました。曲目は《ピアノ協奏曲 ヘ短調》Op.21と《ポーランド民謡による幻想曲 イ長調》Op.13などでした。
*この劇場での2回目のショパンのコンサートは1830年の3月22日に開催されました。曲目は《ロンド・ア・ラ・クラコヴィヤク ヘ長調》Op.14及び、《町にはおかしなならわしが》と《厳しい世間》の主題による即興演奏でした。
*1830年7月8日には、国民劇場の女流歌手B・マイェフスカの記念コンサートに出演し、ショパンは自作の《ラ・チ・ダレム・ラ・マーノ変奏曲 変ロ長調》Op.2を披露しました。
*ショパンがポーランドを発つ数週間前の1830年10月11日、この劇場で告別演奏会を催し、《ピアノ協奏曲 ホ短調》Op.11と《ポーランド民謡による幻想曲 イ長調》Op.13を演奏しました。