日本では生まれた日を記念して毎年誕生日を祝うのが普通ですが、ポーランドには誕生日とは別に命名日のお祝いをする習慣があります。
この命名日というのは、365日すべての日にキリスト教守護聖人の名前が振り当てられていて、自分の名前(または洗礼名)と同じ聖人の名前の日がその人の命名日となります。また、生まれた日の聖人の名前をそのまま名前として付けることもよくあるそうです。
中年以降になると、誕生日よりも、この命名日の方を盛大に祝うことが多くなるそうですね。
さて、ショパンの父親ミコワイの命名日は12月6日で、ショパンが6歳の時に、ミコワイに贈った命名日のお祝いのカードが残っています。
「僕のパパへ。みんなに祝福されるこの日に、僕もパパの幸せを、けっして不幸のない幸運にいつまでも恵まれていることを祈っています。そうであることを心から願って。F・ショパン。今日、1816年12月6日。」
カード中央上部にNとCを組み合わせた飾り文字(父のイニシャル)があります。そして、内側にスペースをつくるように弧を描いて、左に柏、右にオリーブの枝を配置し、下をリボンで結び、そのすぐ上に署名と日付を記入しています。
中央にポーランド語で6行の祝詞が書き込まれていますが、この詩は1行のシラブルの数が揃えられ、行末の文字は、aabccbと韻を踏んでいるという凝ったつくりになっています。
6歳のショパンが、絵を描き、文章を作り、文字を書いたとされていますが、おそらく家族の誰かからなんらかの手ほどきを受けたものでしょうね。
現物は縦約32センチ、横約25センチで、現在はワルシャワのショパン協会が所蔵しています。